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桐生祥秀選手が9秒98を達成、日本人初「10秒の壁」を突破した理由とは?

投稿日:2017-09-15 更新日:

桐生祥秀選手が9月9日の全日本インカレ陸上男子100m決勝で日本人初の「10秒の壁」を突破し、「9秒98」の日本新記録を達成しました。

桐生選手は、6月の日本選手権では4位になるなど、一歩出遅れていた感があったのですが、他の有望選手より先に「10秒の壁」を突破したのです。

なぜ他の有望選手より先に達成できたのか?それにはある理由があったのです。その理由を考察していきます。

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桐生祥秀選手が日本人初の「10秒の壁」を突破

今年の「全日本陸上インカレ」の男子100m決勝は、桐生祥秀選手が日本人初の「10秒の壁」を突破し、9秒98(追い風1.8m)の日本新記録をマークして3連覇を達成しました。

因みに、2m以上の追い風のときは参考記録にしかなりません。追い風1.8mという風も味方にして達成できた記録です。

タイマーに表示された「9秒99」が「9秒98」に切り替わった瞬間、桐生選手はトラックを何度も飛び跳ね、こぶしを観客席に突き上げて喜びを爆発させました。

大学最後の100mで飛び出した大記録。その喜びもひとしおでしょう。

 

桐生選手といえば、高校3年のとき歴代2位となる10秒01をマークし、一躍注目を浴びていました。

しかし、その後なかなか記録が伸びず、6月の日本選手権男子100mの試合では、サニブラウン・ハキーム選手、多田修平選手、ケンブリッジ飛鳥選手に次ぐ4位に終わり、ロンドン世界選手権の個人種目での代表を逃していました。

高校時代から今日までの軌跡

桐生選手は子どもの頃から俊足で鳴らし、付いたあだ名が、その名も「ジェット桐生(気流)」。

陸上競技は中学から始め、進学した高校は京都の洛南高校。その高校3年生(2013年)のとき、当時の歴代2位となる10秒01を記録します。

2015年には、追い風(3.3m)参考ながら9秒87をマークし、伸びしろの大きさが窺われ、「10秒の壁」を突破するのは時間の問題と言われていました。

しかし、その後なかなか記録が伸びず、今年6月の日本選手権では4位に終わり、失意のどん底にいました。

それでもロンドン世界選手権では、400メートルリレーに出場し、日本チームの銅メダル獲得に貢献しました。

「10秒の壁」を突破した理由をデータで分析すると

そんな桐生選手が「10秒の壁」を突破し、日本記録を更新したのです。

それでは、今回のレースのデータを分析してみます。

  • ①まず、最高速度についてです。
    今まで最高速度は、スタート後50メートル付近で出ることが多かったのですが、9日のレースでは65メートル付近にまで伸び、速さも10秒の壁を突破するために必要とされる11.60m/秒を超えて、11.67m/秒を記録しています。
  • ②次に、ゴールまでの歩数について
    過去のデータでは48歩だったものが、今回は、47.8歩で走っています。つまり、1秒で最大5歩に達する高速ピッチを維持したうえでスライドが伸びたことが快挙に繋がっているというわけです。

今回の9秒98の記録更新は、時間にして0.03秒の短縮となるわけですが、これを距離に換算すると約30cmになります。

この記録更新は、練習中に行っていたあることと大きな関係があるらしいのです。一体それは何だったのでしょうか。

ずばり、それは練習中に体幹を鍛えていたからなのです。

桐生選手は、アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治さんの指導を受け、独自の筋トレで体幹を鍛えた結果、スタートからゴールまで安定したフォームで走れるようになったのです。

ここで歴代のスプリンターの記録と身長・体重を見てみます。

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  • ①ウサイン・ボルト
    9秒58  身長195cm 体重94kg

 

 

 

 

 

  • ②ヨハン・ブレーク
    9秒69  身長180cm 体重78kg

 

  • ②タイソン・ゲイ
    9秒69  身長183cm 体重73kg

 

 

 

 

 

  • ④アサファ・パウエル
    9秒72  身長190cm 体重88kg
  • ⑤ジャスティン・ガトリン
    9秒74 身長185cm 体重79kg

 

 

 

 

 

 

上半身の画像を見れば分りますが、どの選手も隆々たる筋肉の持ち主です。そうなんです。皆さん体幹の鍛え方が半端じゃない。

ではなぜ体幹を鍛える必要があるのか?

それは、レースに勝つためには、前半で上げてきたスピードを後半、出来るだけ維持しながらゴールする必要があり、そのためには、疲れが出てくる後半もバランスのとれた安定したフォームで走り切る必要があるのです。

体幹を鍛えていないと、疲れが出てくる後半にバランスを崩し、安定したフォームで走れず、結果、減速してしまいます。

日本人の多くの選手がロケットスタートといって、前半は抜け出すのに、後半になるとバランスを崩し、後から来る選手に追い抜かれるのは、これが原因なのですね。

その点、桐生選手は密かに体幹を鍛えていたお蔭で、今回のレースでは、後半もスピードをそれほど落とすことなく走りきることができ「10秒の壁」を突破できたのだと思います。

今後、更なる記録の更新を期待したいと思います。

まとめ

それでは今回のまとめです。

桐生選手がとうとう日本人で初めて「10秒の壁」を突破して、9秒98の日本新記録を達成しました。

その理由は、あのハンマー投げの金メダリスト室伏広治さんから指導を受けて体幹を鍛えたことにありました。

体幹を鍛えることにより、レース後半もバランスを崩すことなくスピードに乗ったフォームで走りきることができ、0.03秒、距離30cmを縮めることができたのです。

ところで、このことに関連して、これとは正に逆のケースですが、すごく興味深いお話しがあります。

箱根駅伝を3連覇した青山学院大学陸上部の原監督が面白いことを言っています。

青山学院大学の箱根駅伝を目指す学生さんが、一生懸命、腹筋を鍛えているのを見て、「長距離ランナーは、走るための筋肉以外の余計な筋肉を付けるな」と言うのですね。

それは、なぜか。

走るための筋肉以外の腹筋などの余計な筋肉を付けると、その筋肉を使う分、エネルギーの消費が速まり、かつ、生成される乳酸の量も増えるため、身体が疲労しやすくなって、長距離ランナーには大変不利に働くというのです。

これって卓見じゃないですか? いかにも箱根駅伝を3連覇に導いた原監督ならではの言葉ですね。

機会があれば、別に記事を書いて見たいと思います。

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