歳をとると誰しも肥満が気になるものです。
そして誰もが取り組んでみようとするのがダイエット。
しかし、やってみても うまくいかなかったり、せっかく成功してもリバウンドという反撃が待っていたりと中々大変です。
ダイエットを成功させるためには人間のカロリー消費に関する仕組み、特に基礎代謝に関する知識が鍵を握っています。
これを知っているのといないのとでは、ダイエットの結果に大きな違いをもたらします。
基礎代謝に関する知識を身に着けてダイエットを成功させ、周りの注目を集めましょう。
目次
人間のカロリー消費に関する3分類
人間のカロリー消費は、大きく次の3つに分類されます(かっこ内はその構成割合です)。
- ①基礎代謝(60%)
厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、「心身ともに安静な状態の時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量」と定義されています。
人間は、生きるために心拍、呼吸、体温の維持などを常時行っており、これらの活動のために最低限必要なエネルギーの消費を基礎代謝といいます。
簡単にいえば何もしないで横たわっているときでも使われるエネルギー消費のことです。
- ②生活活動代謝(30%)
普通の活動、歩く、仕事をする、運動をするときなどのに使われるエネルギーの消費です。 - ③食事誘発性熱産生(約10%)
食事を摂ると体内で栄養素が分解して一部が熱として消費され、代謝量が増加しますが、この熱として消費されることを食事誘発性熱産生といいます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なります。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%が、糖質のみの場合は約6%が、脂質のみの場合は約4%がそれぞれ消費されます。通常の食事はこれらの混合なので約10%程度が消費されます。(厚生労働省のe-ヘルスネット「食事誘発性熱産生 / DIT」)
ダイエットは、これらのカロリー消費量(基礎代謝や生活活動代謝等)を上げていく、又は減らさないことが基本になります。
基礎代謝量を上げて、減らさないための基本的な知識
人間の消費カロリーの約60%が基礎代謝ですので、この基礎代謝量を上げていくのが一番効果的です。
基礎代謝のエネルギー消費を担う臓器の代表的なものは「骨格筋、脂肪組織、肝臓、脳、心臓、腎臓」などです。
各臓器ごとのエネルギー代謝量と基礎代謝量の全体に占める比率は次の通りです。(厚生労働省e-ヘルスネット「ヒトの臓器・組織における安静時代謝量」)
臓器・組織 | エネルギー代謝量 | 比率 |
全身(70kg) | 1700kcal/日 | 100% |
骨格筋 | 370kcal/日 | 22% |
脂肪組織 | 70kcal/日 | 4% |
肝臓 | 360kcal/日 | 21% |
脳 | 340kcal/日 | 20% |
心臓 | 145kcal/日 | 9% |
腎臓 | 137kcal/日 | 8% |
その他 | 277kcal/日 | 16% |
この「比率」から分かる通り、骨格筋いわゆる筋肉と肝臓、脳がほぼ同等で、これらを合計すると63%と過半数を超えており、この3つが基礎代謝の中心ということができます。
従って、これらのエネルギー代謝を上げるような、あるいは下げないような対策が有効です。
- ①筋肉の基礎代謝
筋肉を動かさなくても消費するエネルギーは、体温を維持するために使われるエネルギーです。
もともと基礎代謝のほとんどが、体温維持のために使われており、体温が1度下がると基礎代謝は13%も落ちると言われているくらいです。
基礎代謝が下がらないようにするためには体温を下げないようにすることであり、それには筋肉量の維持がポイントになります。 - ②肝臓の基礎代謝
肝臓は、臓器の中で一番大きく、
(ⅰ) 糖質やたんぱく質、脂質の代謝、合成、貯蔵、
(ⅱ) アルコールや薬、毒物などの有害物質の解毒や分解、排泄、
(ⅲ) 胆汁の合成、分泌
などの働きをしており、これらの働きにエネルギーが消費されています。
従って、肝臓については臓器としての働きが十分に維持されるようなバランスのとれた食事の摂取が重要になってきます。 また、過度のアルコールの摂取など肝臓に負担をかけないようなことも必要です。 - ③脳の基礎代謝
脳は、思考や記憶など精神活動全般を担っており、これも肝臓と同様にその働きが十分に維持されるよう、十分な睡眠をとることなどが必要になってきます。
基礎代謝に関する基本的な知識を踏まえた効果的なダイエットの方法
今まで見てきた基礎代謝に関する知識を踏まえ、骨格筋、肝臓、脳それぞれに対応した誰にでも簡単お手軽にできる、次のような効果的なダイエットを実行しましょう。
骨格筋に働きかけるダイエット対策
- ①ぬるめのお湯の半身浴で体温の維持
基礎代謝量は、体温が1℃上がる約13%も高まるといわれています。
夏場でもシャワーだけで済ませるのではなく、しっかり湯船に浸かって体を温めましょう。
37℃~39℃くらいのぬるめのお湯でゆっくり半身浴をするのが効果的です。また、入浴後は忘れず水分を補給しましよう。 - ②筋トレで筋肉量を増やす
筋肉が増えると基礎代謝量が上がり、自分の体力に無理のない範囲で筋トレを実施しましよう。
筋トレを継続することで太りにくい・リバウンドしにくい体になります。
また、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は脂肪を燃焼させます。
1日30分のウォーキングに取り組むなど継続した活動が重要です。
肝臓に働きかけるダイエット対策
- ①バランスの良い食事を摂る
ダイエットというとカロリー制限を優先して考えてしまいますが、極端な糖質(炭水貨物)制限は、それを肝臓で補うことにより肝臓に負担をかけ、そのため肝臓の働きが低下し、基礎代謝量が減って逆効果になってしまいます。
- ②過度のアルコールの摂取は避ける
過度のアルコールの摂取は、肝臓にアルコールの分解や排泄のために大きな負担をかけ、機能低下をもたらして、基礎代謝量を下げる原因になってしまいます。
脳に働きかけるダイエット対策
- ①十分な睡眠をとる
十分な睡眠をとり脳を休めることが重要です。睡眠不足ですと、食欲を増進させるホルモンが増え過食の原因になります。
リバウンド防止のための対策
- ①3度の食事をきちんと摂ること。特にたんぱく質の摂取は重要
食事は3度の食事をきちんと摂り、特にエネルギー消費が高いたんぱく質を摂ることで食事誘発性熱産生によるエネルギーの消費が促進され、基礎代謝量の確保につながります。
また、食事を抜くと空腹を感じた体が危機感を覚え、基礎代謝を下げて脂肪を蓄積しやい体質になって、リバウンドしやすくなります。 - ②急激なダイエットはしない
急激なダイエットはストレスを生み、それが暴飲暴食などの抗しがたい欲求を生む元になって逆効果になります。 目安としては、1月の減量が体重の5%以内に抑えること。これを超える減量は、体が飢餓状態と認識して元の状態に戻ろうとします。
これが「ホメオスタシス」(生体恒常性)という現象です。
リバウウドの回避対策は、焦らず無理せず、段階的に少しずつ減量をしていくことで、体に飢餓状態と認識されない状況を継続していくことです。
まとめ 効果的なダイエットに必要な基礎代謝に関する知識
それでは今回のまとめです。
効果的なダイエットをするためには、人間のエネルギー消費(代謝)のうちの基礎代謝に関する知識が大変重要です。
そして、基礎代謝の中のエネルギー消費量で大きな比率をしめる骨格筋、肝臓、脳の働きを知ることで、それぞれに対応した効果的なダイエット(食事や睡眠、入浴)の方法やリバウンドの防止対策(欠食や急激なダイエットの回避)が分かり、確実な成功への道が開けます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、ダイエットの実践編、お肉ファーストダイエットをご紹介します。
⇨ 名医のTHE太鼓判お肉先食べダイエット!ミートファーストとは?