昔、学校給食で「そば」を食べた児童がそばアレルギーで具合が悪くなり、直ぐに帰宅させましたが、帰宅途中で嘔吐物が喉に詰まって亡くなるという不幸な事件に関わりました。
それ以来、管理人は、アレルギーという疾患に関心を持つようになりました。
あれから20年ほど経過しましたが、近年、益々増え続けるアレルギー疾患・・
生活に身近なことだけに、その対処法や症状に応じた予防法の知識は大切ですので、その内容についてレポートしました。
目次
アレルギーの症状とその原因について
そもそも、アレルギーとは何かといえば、それは体内に侵入した異物(抗原)を攻撃・排除する、もともと人間に備わっている免疫という作用が、何らかの理由で過剰に働くことにより逆に自分の体が攻撃されて発症する疾患です。
すなわち「アレルギーの反応」は、「免疫」と反応の仕組みは同じですが、身体にとって良くない結果を引き起こす「免疫の過剰反応」です(過ぎたるは及ばざるが如し)。
ではなぜ過剰反応が引き起こされるのでしょうか。
近年、住環境や食生活の変化、大気汚染やストレスなどによる免疫力の低下により免疫のバランスが崩れ、それが原因となってアレルギーが引き起こされるといわれています。
アレルギーは、体にいろいろな症状を引き起こします。
(1) 食物アレルギーの症状
- 食後にじんましんや皮膚が赤くなり、かゆみがでる。
- 口内のイガイガ感や唇が腫れる。
- 目の充血、目の周りが腫れる。
- 呼吸が苦しくなる、吐き気
成長段階で消化機能が未熟な子供は、抗原であるタンパク質を十分に分解・消化することができないため、発症する恐れが高くなります。
(2) 花粉症の症状
- くしゃみが続いて出る。
- 透明でさらさらした鼻水が続いて出る。
- 目がかゆくなる。
- 毎年、花粉が飛散する時期に症状が出る。
花粉を体外に出そうとして、くしゃみや鼻水が出ます。
発症する確率は、それまでに花粉を吸ってきた量や体質が関係するといわれています。
(3) アトピー性皮膚炎の症状
- 皮膚がかゆい。
- 赤みのある湿疹やブツブツした発疹がでる。
- ジクジクした水分の多い発疹がでる。
- しこりのような発疹が出る。
- 発疹の症状が繰り返す。
皮膚のバリヤ機能が弱まって外からの異物が皮膚の中まで侵入しやすい状態になっているときにアレルギー症状が引き起こされます。
また、皮膚を引っかくなどの物理的刺激、汗、化粧品、紫外線などが原因となってアレルギーの症状が引き起こされます。
(4) 喘息の症状
- 呼吸音がゼイゼイやヒューヒュー(喘鳴)
- 呼吸困難
- 胸が苦しい
- ひどい咳をともなった気道の炎症
喘息の症状(発作)は、夜間や早朝におこりやすいのが大きな特徴です。
その他、①季節の変わり目など気温差がはげしいとき、②天気が悪く変わりやすいとき、③疲れているとき、④風邪をひいたとき、⑤発作を引き起こす刺激に触れたとき(タバコの煙、線香の煙、強い臭いなど)にも起こりやすい傾向があります。
(5) アナフィラキシーショック
これは特にハチに刺されたり、食物・薬物などが原因で起きる急性なアレルギー症状の一つです。
急激な血圧低下などによりショック症状が引き起こされ、生命にかかわる危険な状態に陥ることがあります。
この場合は一刻も早く医療機関に行かなければなりません。
アレルギーの症状に応じた対処法について
(1) 食物アレルギーの対処法
①食事療法
食物アレルギーの基本的な治療法は、原因となる食物を摂取しない「除去食療法」です。
しかし、どの食品をどの程度除去するかは、お医者さんの診断のもと、よく相談して決めることが大切です。
なお、最近の医学の知見によれば、原因食物の安全量を適切に摂取し、これを継続しながら少しづつ増やしていくことで治る確率が高くなることが分かってきています。
食物アレルギーの治療は、単なる「除去食療法」から「正しい診断に基づいた必要最小限の食物除去」という治療法に変わってきております。
逆にいうと原因食物をいつまでも厳格に避けていると治りにくいということでもあるのです。
生活の質を高めるためには、お医者さんの正しい診断と指導のもと、この治療法にチャレンジしてみる価値はありそうです。
②緊急時に備える。
食物アレルギーは、症状が現れてから短時間で急激に深刻な事態に陥る場合があることから、そうした事態に備え、予めお医者さんと話し合って薬を用意しておくことも必要です。
(2) 花粉症の対処法
①花粉をつきにくくする。
花粉に関する情報を予め収集して飛散量が多い日は窓を閉め、なるべく外出は避けるようにすること。
また、外出するときは、メガネやマスク、帽子を着用し、花粉が付かないスベスベした材質の服を着ること。
帰宅したときは花粉を払い落とし、顔や手、目鼻を洗い、うがいをすること。
②薬を使用する。
内服薬 くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの原因となるヒスタミンを抑える成分が入っている飲み薬を用意する。
効果が長く持続するものもあります。
目薬・点鼻薬 患部に直接働き、目のかゆみや充血を和らげたり、鼻水、鼻づまりを速やか抑えます。飲み薬と違い、眠気を催すことが少ないという利点があります。
(3) アトピー性皮膚炎の対処法
①スキンケア
毎日の入浴で皮膚を清潔に保ちましょう。石鹸やシャンプーは合成添加物や界面活性剤が少ないものを選びましょう。
入浴後はできるだけ早く保湿しましょう。
②薬を使用する。
治療薬は皮膚炎の症状の程度によって異なります。
お医者さんと話し合ってステロイドを中心とした塗り薬、飲み薬、保湿剤など自分の症状にあった対処法を行いましょう。
なお、ステロイドによる対処法は、悪く言えば「その場しのぎ」的な対症療法で、アレルギーの根本的治療にはなりません。
ステロイドの多用は、アレルギーを重症化させ、治りにくくしている原因の一つにもなっており、この点は注意が必要です。
(4) 喘息の対処法
喘息の治療薬は、飲み薬、吸入薬、貼り薬、注射薬などさまざまあり、目的や自分の好み・年齢などに応じて使い分けがされます。
中でも標的となる気道に直接届いて、少量で効果が得られる吸入薬が主に用いられています。
吸入薬には、粉を吸入するドライパウダー製剤、霧状の薬剤を噴霧して吸入するエアゾール製剤、液体を霧状にして吸入する電動ネブライザーなどのタイプがあります。
知っておきたいアレルギーの予防法とは?
アレルギー症状のそれぞれに対応した予防法がありますが、花粉症については既に書いておりますので、ここでは次の3点について書いていきます。
(1) ダニ・カビ対策
抗原になりやすいダニやカビを減らすことが大切です。
ダニを餌となるほこりや食べ物の残りかす、ペットや人の垢や毛をしっかり掃除し、こまめに換気してカビの発生を抑えましょう。
(2) 青魚を食べる。
青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体の炎症反応が起きにくいオメガ3系の脂質です。
食生活が肉類中心の場合は見直す必要があります。
(3) ストレスを溜めない。
ストレスはアレルギーの症状を悪化させます。休むときはしっかり休む。
入浴やストレッチでリラックスするなどストレスを溜めない生活を心がけ、過度な飲酒等は控えましょう。
まとめ
それでは今回のまとめです。
近年、益々増加するアレルギー疾患は、抗原の種類に応じてその症状は様々です。
アレルギーの症状にはどういったものがあるのか、そしてその症状に応じた対処法を明らかにするとともに、出来る限りアレルギーを起こさないような予防法についても解説しました。
アレルギー疾患のメカニズムについては、まだまだ分からないことも多く、今後の医学の進展が待たれます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。