最近、高齢者による自動車事故が多発しています。
事故の多くは、アクセルの踏み間違いによる急発進が原因で、他の車を巻き込んで、負傷者が出たり、最悪、死亡事故にまでなっています。
そうした事態を受け、東京都はアクセルの踏み間違いによる急発進を防止する装置の購入・設置費用に対し、何と9割の補助をすることを決めました。
9割の補助金は驚きですが、管理者が何より驚いたのは、アクセルの踏み間違いによる急発進防止装置というものが開発されていることでした。
しかも後付で設置できるというのです。
自動車の大掛かりなオプションの装置は通常、発注のときに申し込まないと装着できないのですが、この急発進防止装置は後から設置することができるのです!
凄い装置ですね!
そこでこの装置は、どのような仕組みでアクセルの踏み間違いによる急発進を防止するのか調べてみました。
また、東京都が行う9割の補助金について、具体的にいつから始めるのか?
そして何歳から対象になるのか、更に突っ込んで調べてみました。
目次
アクセルの踏み間違いによる急発進防止装置の仕組みとは?
間違えてアクセルを踏み込んでも急発進しないのはどんな仕組みになっているのか、詳しく調べてみました。
昔の車は、アクセルの踏み加減(これを「アクセル開度」といいます。)によりワイヤーで繋がれたアクセルスロットルが機械的に開閉してエンジンの出力をコントロールしていました。
一方、最近の車は、エンジンの出力を電子的に制御するようになっています。
すなわちアクセル開度(踏み加減)が電気信号に変換され、その電気信号でアクセルの出力を調節する仕組みに変わったのです。
そのため、アクセルを急激に踏み込んだときに生じる(異常な)電気信号を検知した場合に、アクセルの出力を電気的にカットするようにプログラムしておけば、車の急発進を防止できるというわけです。
ワイヤーを通してアクセル開度(踏み加減)が伝達される仕組みでは、その踏み加減がそのまま機械的にアクセルスロットルに伝達され、急発進を防ぐことはできません。
でも驚くなかれ、ワイヤースロットル車対応の急発進防止装置も実はあります!
また、全く別の発想で急発進を防止する仕組みを考え製品化する装置もあります。
これらは後ほど説明します。
なお、アクセルの踏み加減の感じ方は人によって違うこと、坂道発進のときに車種によってアクセル開度が違うことなどの事情を考慮し、人や車種によって装置が発動する基準を個別に調整する必要があります。
高速運転時の追越しの急発進には作動しないようにし、どの程度の徐行速度のときにこの装置を働かせるかなど装置が動作する速度の範囲も設定する必要があります。
商品化された主要な急発進防止装置を紹介します!
急発進防止装置は、現在、車のメーカーやベンチャー企業などで開発されており、いろいろな種類のものが販売されています。
主な急発進防止装置について紹介していきます。
ペダルの見張り番Ⅱ
これは、オートバックスの専売商品で、価格は標準タイプで3万円(税抜き)、高機能タイプで4万円(同)で、いずれも本体価格のほかに取付部品と取付作業工賃を含んでいます。
アクセルとブレーキを踏み間違えたときに機能するオーバーアクセルキャンセラ-(OAC)とアクセルとブレーキを同時に踏んだときにブレーキが優先するブレーキオーバーライドシステムの2機能が搭載されております。
適合車種は、標準タイプで170車種以上、高機能タイプで210車種以上です。
なお、前モデルの「ペダルの見張り番」に比べて、オン・オフのスイッチが付き、アクセルの踏み具合の感度調整が3段階から5段階になり、設定がきめ細かくなるなどより使い易くなっています。
「T.M.WORKS」の誤発進抑制装置
この装置は、自動ブレーキ用のカメラや超音波センサーが装備されていない車にも適応するのが特徴で、車速とアクセル開度から運転状況を判断し、アクセルの異常な踏み込みがあった場合にアクセル操作が無効になる仕組みを取り入れています。
本体が2万7000円 (税別)、車種別専用ハーネスが4500円 (税別)~と、価格もお手頃な設定ですが、装着に関わる工賃は含まれておりません。
国産車だけでなく、BMW、VW、アウディなど幅広く輸入車にも対応しています。
踏み間違い加速抑制システム(サポトヨ+)
この装置はトヨタのハイブリット車プリウス、アクアなど8車種に取付可能で、前後のバンパーに超音波センサーをそれぞれ2箇所埋め込まれています。
周囲の約3m以内にある障害物を感知し、ブザーや文字表示で知らせ、アクセルペダルの踏み間違いによる加速を抑制してくれる装置です。
本体と付属品の価格は、税込み5万5,080円ですが、取付費用は除かれており、かなり高額なものになります。
更に、トヨタ純正のカーナビが設置されていることが前提になります。
「つくつく防止」(ダイハツのペダル踏み間違い時加速抑制装置)
「つくつく防止」は、サポトヨ+と同様に、車の後にセンサーを取付け、音やランプで知らせる後付けの急発進抑制装置です。
税込み本体価格34,560円(標準取付費用込みの価格は、59,508円)です。
適応車は、2代目「タント」から4代目「ムーヴァ」、7代目「ミラ」へと拡大しています。
S-DRIVE 誤発進防止システム2
株式会社サン自動車工業が開発・販売している装置で、アクセルセンサーを制御して踏み間違いによる急発進を抑止します。
アクセル踏み具合の学習機能を搭載し、運転者一人ひとりに合わせたきめ細かな踏込み方に作動します。
更に注目すべきは、このシステムは、電子スロットル車用のほか、アクセル開度の制御をワイヤーで行うワイヤー車にも対応するモデルもあり、ほとんどの車種に対応することです。
本体価格\30,000円(税別)で、専用ハーネス(取付具)と取付工賃は別になります。
STOPペダル(ワイヤースロットル車対応の急発進防止システム)
これは、埼玉県川口市にあるナンキ工業の南平次さんが開発し特許を取得している安全運転補助装置です。
この装置の仕組みは、アクセルペダルを通常踏み込む範囲を超えて深く踏み込んだときには、その動作がアクセルスロットに伝わらず、かつ、アクセルペダルに特殊な機構で連結されたブレーキペダルが働くというもの。
この装置を「ストップペダル」いうのですが、これを純正のアクセルペダルに替えて取り付けるものです。
価格は、部品本体価格が99,800円(税抜)で、車体への取付工賃は2万円~3万円が相場です。
ワンペダル(ペダル踏み間違い加速抑制装置)
これは、事故を防ぐためにアクセルとブレーキを一体化させた世界で唯一の『安全設計ペダル』という触れ込みで、ナルセ機材有限会社が開発・販売している装置です。
ワンペダルの操作方法ですが、通常のオートマチック車はアクセルとブレーキの2つのペダルを踏み変えて操作するのに対し、一つしかないペダルに足を置いたまま操作します。
すなわち、ペダルに置いた足を右にずらすとアクセルが作動し、ペダルに置いた足をそのまま踏み込めばブレーキがかかります。
また,アクセルをかけたままでペダルを踏んでもクラッチがはずれてアクセルがきかなくなる仕組みになっており、車の暴走を防止します。
とにかく運転中は常時ペダルに足が乗った状態なので、「踏めば止まる」という安心感があり、心に余裕をもって車を運転することができます。
とっさの時も「踏み間違い」や「踏み損ない」、「ブレーキの踏み遅れ」がなくなり、ブレーキをかけるまでの時間(従って危険感知からブレーキを踏むまでに走る空走距離)も短くなりますので、事故の回避、被害の最小化に大きく貢献します。
ワンペダルは、右足操作用と両足操作用の2種類があります。
価格については、車を持ち込んだ場合とそうでない場合(出張)で違いがあります。
① 取付可否を判断するための寸法測定費用
区分 | 費用 |
持ち込み | 5,400円(税込み) |
出張 | 5,000円~1万円程度 |
② 取付費用(本体価格含む)
区分 | 費用 | |
持ち込み | 右足操作用 | 17万円+税金 |
両足操作用 | 20万円+税金 | |
出張 | 右足操作用 | 20万円+税金 |
両足操作用 | 23万円+税金 |
東京都の補助金制度(高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金)の内容について
補助金開始時期:令和元年7月31日から受付開始(令和2年3月31日で終了)
対象年齢等:令和元年度中に70歳以上となる東京都民で有効な運転免許証を所持し、装置を設置しようとする自動車が自家用であること
取扱い事業者:㈱イエローハット、㈱オートバックッスセブン、ダイハツ東京販売㈱、トヨタ西東京カローラ㈱、トヨタモビリティ東京㈱、ネッツトヨタ多摩㈱、ネッツトヨタ東都㈱
補助の割合:設置・購入費用の9割(補助限度額は車1台につき10万円)
補助金予算総額は8億5千万円
まとめ
それでは今回のまとめです。
高齢者のペダルの踏み間違いによる急発進が原因で発生した事故が増加しています。
これを受けて、車のメーカーを中心に様々な急発進防止装置が開発され、販売しています。
急発進防止装置にはいろいろな装置があり、それに応じて価格も結構幅があります。
東京都は、緊急対策としてこの装置の購入・設置に必要な経費の9割を補助する時限的な制度を制定し対策に乗り出しました。
時限的な制度ということで、この補助制度は来年(令和2年)の3月31日で終了してしまいます。
東京都民で高齢者の方は、一層の安全運転をするため、この補助金を活用してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。