ダイエットや食物のカロリーなどについて、いろいろ調べていくと、BMIという言葉によく出会います。
このBMIは、肥満の目安である肥満指標として使われているようなのですが、BMIの計算要素は、体重と身長だけです。
こんな簡単な数値だけで肥満の状態が判断できるというのは驚きです。
そこで、このBMIというものを詳しく調べてみました。
BMIとは?
BMIは、「Body Mass Index」の頭文字をとった略語です。
ボディマス指標とか肥満指標と呼ばれ、成人の男女を対象として、身長と体重から肥満の程度を判断する数値として使用されます。
BMIの計算方法ですが、言葉で表現すれば、体重(㎏)を身長(m)の2乗で割った値がBMIです。
計算式で表せば、
実際に電卓やスマホの電卓機能で計算するときは、体重(㎏)を身長(m)で2回割ることで計算することできます。
つまり「体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)」なので、数字を順番に入力するだけで簡単に計算できるのです。
なぜ、BMIは肥満指標と呼ばれるのか?
そもそも「肥満」とは、体重が多いだけではなく体脂肪が必要以上にあり、体脂肪率が高い状態のことを言います。
また、骨の太さや筋肉量などの体組成にも関係していると言われています。
しかし、体脂肪率や体組成を日常生活の中で正確に測定することは、それほど簡単ではありません。
正確な体脂肪量や脂肪の分布状態は、CTスキャンによる検査が必要です。
この点、BMIという数値は、体重と身長という簡便に測定できる数値から計算でき、しかも体の総脂肪量とよく相関していることがいろいろな研究から明らかにされています。
すなわち、このBMIという数値を使って体脂肪の状態を推測することができるのです。
そのため、BMIという指標は肥満指標と呼ばれるのです。
ただし、BMIの数値で成人男女の体脂肪の状態を推測することはできますが、この数値は、ある人の全体としての体脂肪量でしかないのです。
一言に肥満といっても内蔵脂肪型とか皮下脂肪型といった肥満のタイプがあり、更に掘り下げた太り方などの違いはBMIの数値だけでは分かりません。
BMIで計算された数値の判断基準とは?
BMIの計算式は世界共通ですが、算出された数値に基づく肥満の判定基準は国によって異なります。
これは、それぞれの国の生活習慣や伝統文化などの違いにより肥満に対する評価あるいは肥満かどうかの判定が微妙に違うことに由来するわけです。
世界保健機構(WHO)でも判定基準を定めており、BMI:25以上を過体重、30以上を肥満としています。
世界保健機構(WHO)の肥満判定基準
状態 | BMI指標 |
痩せすぎ | 16.00未満 |
痩せ | 16.00以上~16.99未満 |
痩せ気味 | 17.00以上~18.49未満 |
普通体重 | 18.50以上~24.99未満 |
前肥満 | 25.00以上~29.99未満 |
肥満(1度) | 30.00以上~34.99未満 |
肥満(2度) | 35.00以上~39.99未満 |
肥満(3度) | 40.00以上 |
この判定基準は、欧米では同じで米国国立衛生研究所や英国国民保険サービスで採用され、更にはドイツ、フランス、イタリアでも同様の判定基準が採用されています。
アメリカ疾病予防管理センターによると、アジア系アメリカ人は、内蔵脂肪が溜まりやすいため、BMI:23以上から注意すべきとしています。
香港やシンガポールでも同様に、BMI:23を普通体重とそれ以上を分ける境目にしています。
日本の場合はどうかというと、日本肥満学会が提唱する基準が標準となっており、それは香港などよりも更に厳しくBMI:22を標準体重(統計的に最も病気にかかりにくい体重)としており、25以上の場合を肥満、18.5未満の場合を低体重としています。
日本肥満学会の肥満指標(2011年)
状態 | BMI指標 |
低体重(痩せ型) | 18.5未満 |
普通体重 | 18.5以上~25未満 |
肥満(1度) | 25以上~30未満 |
肥満(2度) | 30以上~35未満 |
肥満(3度) | 35以上~44未満 |
肥満(4度) | 44以上 |
まとめ
それでは今回のまとめです。
BMIは、もともとベルギーの数学者・統計学者で社会学者でもあるアドルフ・ケトレーによって考案された指数です。
これがドイツの衛生学者イグナーツ・カウプによって小児の発達指数として利用されたことにより世に広く知られるようになりました。
そして、この指数が体脂肪率とよく相関することが様々な研究によって明らかにされたことにより、身体組成研究分野の重要な指数として位置づけられるようになりました。
それ以降BMIと呼ばれるようになったのです。
と、まあ学術的知識はこれくらいにして、私達の食生活に関連するお話をして終わりにします。
実はこのBMIは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」(1日に必要な食事量)にも影響を与えました。
従前は「カロリー」を基礎にしていたこの基準が、2015年度版から「望ましいBMIの範囲を維持できる食事量」を基準として、カロリーからBMIを基礎にする食事量に変更されたのです。
目標とするBMIは年代別に次の表のように定められ、測定されたBMIが目標範囲を下回っていれば「不足」、上回っていれば「過剰」として、目標範囲に留めるよう体重を改善することが勧められます。
年齢(歳) | 目標とするBMI |
18~49歳 | 18.5~24.9 |
50~69歳 | 20.0~24.9 |
70歳以上 | 21.5~24.9 |
この基準の特徴は、年齢が高くなるほど栄養状態が悪い人の割合が増え、筋肉量の減少の危険性が高まること、また、転倒予防や介護予防の観点もふまえて、50歳代以上でBMIの下限を上げたことです。
この変更によりカロリーを基礎としていた従来の基準ではカバーできなかった小柄な男性や長身の女性にも適切に目標を示すことが出来るようになりました。
BMIは年に数回測って太り具合を見る数値から、体の状態を知るために日常的に測定する数値へと考え方が変わったのです。
身長は通常は変わらないので、BMIの変化は体重の変化に現れるため、毎日の体重測定が健康管理やダイエットには必要になって来るのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。