皆さん こんにちは!
最近、興味深いニュースが報道されました。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)という組織から、日本の排他的経済水域(EEZ)で、コバルトやニッケルを含む鉱物の採掘に成功したと発表されました。
コバルトやニッケルといえば、リチウムイオン電池に必要不可欠な物質で、レアメタル(希少金属)と呼ばれて希少性が高く、その多くを中国に依存しているため、国産化が課題とされてきました。
この度のニュースは日本にとって朗報といえますが、そもそもレアメタル(希少金属)って何でしょう?
基本的には鉱物ですが、いろんなものがありそうですし、またどんな役にたつの?といった疑問が湧いてきます。
そこでこの記事ではレアメタルの種類と種類に応じた用途について解説していきます。
ごゆっくりご覧ください。
目次
最初に金属を大きく分類すると?
まず最初に金属を大きく分類すると次のようになります。
①ベースメタル 鉄、銅、亜鉛、アルミニウムなど社会の中で大量に利用され、生産量が多く様々な材料に利用されている金属です。
②貴金属 一般には金、銀、白金(プラチナ)やパラジウムなどの8元素が該当し、希少で対腐食性があるのが特徴の金属です。
③レアメタル 希少性という点では貴金属と同じで、貴金属を含めた広い意味で非鉄金属という言葉をつかいますが、貴金属以外で産業に利用されている狭義の非鉄金属のことを日本ではレアメタルとよんでいます。
レアメタルとは?どんな種類があるの?
レアメタルとは、英語では rare metal と書きまして、文字通り希少金属のことです。
でも実は、このレアメタルという言葉は和製英語なんです。
英語圏の言葉では、minor metal (マイナーメタル)といっています。
ただこのレアメタル、正式な定義は国際的には定まっておらず、日本では、
「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で採掘するのが困難な金属」のうち「工業需要が現に存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要であるもの」(鉱業審議会ー経済産業省)
という定義によって、現在31種類の金属鉱物をレアメタルとしています。
レアメタルの種類
日本では次の31種類をレアメタルとしています。
これを元素番号順に並べると、
リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、希土類、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、白金(Pt)、タリウム(Tl)、ビスマス(Bi)
の31種類です。
希土類(レアアース)とは?
レアメタルのうち、一般に希土類と呼ばれている17元素のグループがあり、「レアアース」とも呼ばれています。
これも元素番号順に並べると、
スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(™)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)
となります。
レアアースも日本の産業を支える重要な元素で、日本は世界需要の約半分を占めているといわれています。
レアメタルの用途を整理すると?
レアメタルの用途は多岐に渡って現代産業を支える非常に重要な元素材料になっており、大きく次の3つの用途に分けられます。
①構造材として
鉄や銅、アルミニウムなどのベースメタルに添加して合金を作ることに使われ、強度を増したり、錆にくくしたりします。
(具体例)ステンレス鋼、耐熱材、マイクロアロイ鋼、特殊鋼(工具、耐摩耗材)、ニッケル合金材、銅合金材、チタン合金材、アルミ合金材など
②電子・磁石材料として
発光ダイオードや電池、永久磁石などの材料として使われます。
(具体例)半導体レーザー、発光ダイオード、1次電池、2次電池(ニッケル・水素電池)、燃料電池、永久磁石(希少土磁石)、磁気記録素子、磁歪材料、磁気冷凍、超伝導材料など
③高機能性材料として
・光触媒や磁気光学媒体、EDレンズなどの光学ガラス、ニューガラスと呼ばれる透明電極や光通信用のフッ化ガラス
・ニューセラミックスと呼ばれるガスセンサーや切削工具の刃先その他磁気ヘッド、形状記憶合金、水素吸蔵合金
・ブラウン管(CRT)やプラズマディスプレイ、蛍光灯などの蛍光体にも使用されます。
このようにレアメタルの用途は多岐に渡り、現代の産業を支える非常に重要な元素材料になっています。
まとめ レアメタルは3つに分類される金属の一種で工業製品の重要な用途に利用
それでは今回のまとめです。
レアメタルは金属の一種で、金属は大きくベースメタル、貴金属、レアメタルの3つに分類されます。
レアメタルは希少性という点では貴金属と同じですが、貴金属が装飾用なのに対し、レアメタルは工業用として様々な用途に利用されるという点が貴金属と大きく異なります。
工業技術立国の日本にとってレアメタルの確保は、今後の経済成長や国際社会における地位に大きく影響する重要課題といえますので、レアメタルの国産化の努力はこれからも継続していく必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。