選挙

期日前投票のメリットとは?目からウロコの制度改革とは?不在者投票との違いを比較する。

投稿日:2017-10-01 更新日:

9月28日衆議院が解散され、10月22日に総選挙が行われます。

今回の総選挙は、臨時国会の冒頭解散によるもので、小池都知事が立ち上げた「希望の党」の動向や民進党の去就など報道機関がヒートアップする話題満載の選挙になりそうです。

選挙といえば、最近、不在者投票制度から、「期日前投票」という陸上競技ではフライングのような言葉の制度に変わりました。しかし有権者からは利用しやすいと評判は上々で利用が増えている状況です。

期日前投票にはどんなメリットがあるのか。そして不在者投票との違いはどうなのか、両制度を比較すると、その考え方に「目からウロコ」のような違いがあることが分かりました。その違いとは・・

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期日前投票と不在者投票を比較する(その1ー実際編)

選挙の際、仕事や旅行などで投票日に投票できないときは、従来は「不在者投票」をしていました。

そのやり方は、候補者を記載した投票用紙を二重封筒(内封筒、外封筒の2つ)に入れて封印し、外封筒に自分の氏名を書いて「投票箱に投票」(実は不在者投票管理者に提出)します。

実際に、やってみるとわかりますが、大変手間がかかって面倒臭く、しかも外封筒に自分の名前を書くというのですから、誰が投票用紙に記載したのか他人にバレてしまいそうで不安になります。

投票の秘密の上から問題がないのでしょうか。なぜこんな面倒で危ないことをするのか、常々疑問に思っていました。

そうした中、投票日前でも普通に投票ができる、つまり投票用紙を直接投票箱に入れることができる「期日前投票」の制度ができ、二重封筒の煩わしさや投票用紙に記載した候補者がバレる心配もない、投票人にとって大変気軽に投票できる制度になりました。

実は、期日前投票は、投票事務に従事する者にとっても大変メリットのある制度なのです。

今まで投票所で行っていた不在者投票の事務は、不在者投票の受理不受理の決定や外封筒と内封筒の開封などの事務作業外封筒を開封して取り出した内封筒をシャッフルして誰の内封筒か分からなくしてから開封して取り出した投票用紙を投票箱に入れる作業ですが、これらがなくなり、事務負担が大幅に軽減されました。

実際、封筒に入った不在者投票が選挙管理委員会から投票所に持ち込まれるのは、いつも投票時間終了間際の、集計や投票録作成の準備などで忙しい時。

そのため、封筒の開封を一度で済ませる裏技を使ったり、内封筒から取り出した沢山の投票用紙を投票箱に入れる際には投票に来た人に怪しまれないように、こっそり行うなど相当に気を使っていました。

期日前投票は、こういう作業をなくしてくれたのです。

期日前投票と不在者投票を比較する(その2ー理論編)

不在者投票の煩わしさや事務作業の大きな負担が期日前投票により解消されたわけですが、不在者投票では、なぜこんな面倒で、誰が投票用紙に記載したのか他人にバレそうな危ないことをするのか依然として疑問が残ります。

実は選挙には、投票日に投票所で投票することを原則とする「投票当日投票所投票主義」という考え方があり、不在者投票はこの原則に則って制度設計がされています。

この考え方によれば、投票日前二重封筒に入った投票用紙を「投票箱に投票」(実は不在者投票管理者に提出)してもまだ投票は未確定で、投票日所定の投票所で開封された投票用紙が投票箱に入れられたその時に初めて投票が確定することになるのです。

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従って、不在者投票者が投票日前に死亡したり失権などすると、その不在者投票は確定前なので無効になってしまいます。

そうした場合に備えて、誰が行った不在者投票かが分かるように封筒に名前を書くのです(死亡者の不在者投票などは受理されず、取り除かれます)。

しかし、投票の秘密を維持するために二重封筒にしなければならず、このことが、投票人にも投票事務従事者にも煩わしい作業を強いる大きな原因になっていました。

これに対し期日前投票は「投票当日投票所投票主義」の例外として投票日前でも所定の期日前投票所の投票箱に投票すれば、その時点で投票が確定し、その後投票日までに死亡したり失権などしてもその投票は無効にはならないという考え方を採用しています。

ただ、そうすると投票数に死亡者などの投票がカウントされる可能性が出てきますが、それはレアケースなので、そのことよりも利用者に利用しやすい点を優先させて期日前投票を採用したわけです。

この期日前投票の制度は、全くもって「目からウロコ」の話しです。

「投票当日投票所投票主義」という窮屈な考え方を維持するために、不在者投票という随分面倒な制度を作らざるを得ませんでした。

これに対し、期日前投票制度は、例外としてこの窮屈な考え方をちょっと変えるだけで、シンプルで気軽に利用しやすい制度に改善されるという典型的な例ではないかと思います。

今後利用者が増えることは間違いないと思います。

最後に残る不在者投票が対象となるケースとは?

期日前投票が素晴らしい制度とはいっても、すべてをカバーできるわけではありません。次のようなケースは、依然として不在者投票の対象となります。

  • ①出張などにより名簿登録地以外の市区町村の選挙管理委員会で不在者投票を行う場合
    旭川市の選挙管理委員会で問題になりました。
    住民票を地元に残して大学のある遠隔地で暮らす学生が投票する場合も遠隔地の市区町村の選挙管理委員会での不在者投票になります。
    旭川市の選管は、こうした学生に対して居住の実態がないことを理由に投票用紙の交付を拒否していたわけです。
    確かに公職選挙法は居住の実態のない住民は投票できないと定めていますが、手続としては、実態調査の上、居住の実態がないと確認して選挙人名簿から抹消する必要があり、それを行わなければ投票拒否はできないというわけです。
  • ②都道府県の選挙管理委員会が不在者投票のために指定した病院・老人ホーム等で入所者が不在者投票を行う場合
  • ③郵便等による不在者投票(身体障害者手帳か戦傷病者手帳を持っている選挙人で所定の要件に該当する者に限定)

そのほか、例えば投票日に18歳を迎えるが、その前は未だ17歳で選挙権を有しない者などについては、期日前投票をすることができないので、例外的に名簿登録地の市区町村の選挙管理委員会で不在者投票をすることになります。

まとめ

それでは今回のまとめです。

選挙の際、投票日当日に投票所で投票できない場合に備えて不在者投票がありますが、煩わしい二重封筒の作業と外封筒に自分の名前を書くため投票用紙に記載した候補者を誰が書いたか他人に分かってしまう不安があって利用しにくいものになっていました。

これに対し期日前投票は、不在者投票制度の欠点を克服した利用しやすい制度であり、ちょっとした見方・考え方の違いや発想の転換で制度改善がこんなにもできてしまう典型的な事例だと思います。

期日前投票は、今後も利用が増えることでしょう。それが投票率のアップにつながるといいのですが。

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