みなさん、こんにちは!
現在日本では新型コロナウイルスの第2波が襲来し、東京都や大阪府を中心に全国的に感染者が増加しております。
日本の経済は、緊急事態宣言による外出自粛や休業により実質消費支出指数が大きく落ち込んでおり、特に昨年10月に消費税の税率を10%に引き上げたことが追い打ちをかけています。
ちなみに、このグラフで2度ほど消費支出指数が急激に跳ね上がっているのは、2014年と2019年の消費増税による強制的な価格の引き上げによるものです。
そしてそのあと直ぐに消費支出指数は落ち込んで、2019年の場合はコロナによりそこから更に落ち込んで、消費が冷え込んでしまったことを示しています。
2019年の増税に際しては、リーマンショック級の不況が訪れたら実施しないと言っていましたが、コロナの襲来は正にリーマンショック級の不況の到来と言えます。
増税の実施とコロナによる不況の到来の順序が逆になってしまいましたが、速やかに税率を最低でも元に戻すべきであり、更に税率を下げるべきと思います。
そもそも消費税は、最悪の税制と呼べるほど国民に害悪を及ぼす税制です。
消費税はなぜ最悪の税制なのでしょうか?
その理由は次の4つ。
①消費税は、低所得者、失業者、子ども、赤字企業などにも容赦なく課税する「冷酷非情な税」であるということ。
②消費税は、高所得者に甘く低所得者に厳しい「逆累進課税」であるということ。
③消費税は、「消費に対する罰金」であるということ。
④消費税は、「非正規雇用を後押しする税」であるということ。
それでは、消費税が最悪の税制であるこの4つの理由について詳しく解説していきます。
目次
消費税は「冷酷非情な税」である
消費税の大きな特徴は、税収(財源)が安定しており、そのため税収額を予測することができ、徴収する側にとってこれほど便利な税制はありません。
何しろリーマンショックのときも消費税の税収はあまり変わりませんでした。
それはなぜでしょう?
理由は簡単で、人間は食べないと死んでしまうから大恐慌になっても消費はあまり減らず、減ったとしてもせいぜい2割くらいに留まります。
たとえ大恐慌になったとしても人間生きるためにはそれぐらいしか減らすことができないのです。
消費というものは、景気の善し悪しにあまり影響されずに行われるため、その消費に課税する消費税は、確かに安定しています。
ですが、安定しているからこそ消費税は問題なんです。
つまり、景気が悪化したときは税金は取るべきではない、経済的弱者や失業者、赤字企業から税金を取るのはおかしいというのが通常の考えですよね。
ですから、所得税や法人税は、経済的弱者や負け組からは取らない、取っても額を減らす、一方勝ち組からいっぱい取る、あるいは景気がよいときにいっぱいとるという発想になっています。
こういう機能のことを景気の安定化装置(スタビライザー)といいますが、消費税にはこの機能がありません。
消費税は、景気の好不調に関係なく、消費すればすべての人間に課税します。
失業者にも、赤字企業にも課税します。もちろん子どもにも課税するんです。
子どもが1万円のお小遣いを貰っても消費税がかかるため9,000円分しか使えません。
ということで、消費税は景気の状況や消費者が大人だろうが子どもだろうが、所得が高かろうが低かろうがそのような事情を一切考慮しないで課税する「冷酷非情な税」なんです。
消費税は、高所得者に甘く低所得者に厳しい「逆累進課税」である
例えば、年収200万円の人は、大体所得のほとんどを消費に使うので、そこで消費税(20万円)が課税されます。
一方、年収1億円の人は、どんなに消費しても多分1,000万円くらいではないでしょうか。(消費税は100万円)
というのは人間は満腹になったらそれ以上は食べられないから。
ということで、それぞれの所得に占める消費税の割合(%)を比べてみると、
所得1億円の場合 100万円/1億円=0.01(1%)
所得200万円の場合 20万円/200万円=0.1(10%)
となって、所得に占める消費税の割合が1億円の場合と200万円の場合とでは10倍の差があり、1億円の場合の割合が異様に小さくなります。
つまり消費税は、高所得者に対しては税金の割合が低く、低所得者に対しては税金の割合が高いということ。
これはもう欠陥税制以外の何ものでもありません。
所得税や法人税は、所得が多くなるほど税率が大きくなる累進課税をとっていますが、消費税の場合は、これとは真逆の結果、すなわち「逆累進課税」になっています。
要するに消費税は「逆累進課税」の欠陥税制で、こんな税金あっていいわけはないというくらい最悪のダメな税金なんです。
消費税は「消費に対する罰金」である
また消費税は、消費に対する罰金ともいえます。
消費税の政策目的は何かと問われれば、「消費を減らすこと」としか答えようがありません。
例えば、たばこ税は、たばこの本数を減らすための税金ですし、炭素税も企業に二酸化炭素(炭酸ガス)を出させないための税金です。
それでは消費税の目的は何かといえば、それは消費をさせないための税金、すなわち「消費に対する罰金」です。
それなのに何んでデフレのこの時期に消費をさせないための税金を増税するのか全く理由がわかりません。
自分で自分の首を締めていることに気づかないのでしょうか?
消費税は「非正規雇用を後押しする税」である
消費税は、企業にとっては粗利益から支払われる税金です。
売上げがあって、そこから売上原価を引いて粗利益が出ますが、消費税はその粗利益から支払われます。
そして給料などの人件費は、消費税を支払ったあとの粗利益から支払われます。
ところが、給料などの人件費が支払われる正規社員をフリーランスや個人事業主あるいは派遣社員などの非正規雇用に切り替えて委託契約などにすると人件費は外注費に変わります。
外注費は売上原価に組み入れることができるので、売上原価を膨らますことができるのです。
そうすると粗利益が減るので、その分消費税を減らすことができるのです。
最近、経産省が労働者のフリーランス化やギグワーカーなどを推奨しておりますが、正規社員がギグワーカーや非正規雇用に切り替わると、今まで正規社員に支払っていた人件費が外注費となります。
資材の仕入経費と同じ位置づけになって売上原価を増加させ、そのため粗利益が減って消費税を減らせるのです。
ということで消費税は明らかに「非正規雇用を後押しする税」なんです。
平成に入って日本ではなぜこんなに非正規雇用が増えたのでしょうか。その原因のひとつが消費税導入なんです。
消費税導入後、非正規雇用が増えている今日までの日本の状況をこのロジックで見事に説明できるのです。
消費税を上げれば上げるほど、企業は正規社員を切って非正規雇用、すなわち外注費を増やし消費税を減らしているのです。
まとめ 日本の少子化問題の根本原因の一つが消費税
消費税が最悪の税制である理由を解説してきました。
消費税は、
①「冷酷非情な税」である。
② 高所得者に甘く低所得者に厳しい「逆累進課税」である。
③「消費に対する罰金」である。
④「非正規雇用を後押しする税」である。
日本政府はこんなに酷い税金を何度も増税してきました。
特に消費税が「非正規雇用を後押しする税」であることで、20代、30代の若者の多くが正規社員になれず貧困化しています。
日本の実質賃金指数の推移をみると、上のグラフで明らかなとおり1997年をピークにずうーっと下がり続けています。
実は、これが日本の少子化問題の根本原因の一つなんです。
貧困化する20代、30代の若者は、結婚したくとも結婚できないのです。
正規社員の婚姻率は、約60%なのに対し、非正規雇用の婚姻率は、何と20%でしかないのです。
政府の行う保育所の整備とか待機児童対策などは、生まれた子どもに対する政策で、本当の意味で少子化対策になっていないと思います。
本当の少子化対策とは、非正規雇用の婚姻率を上げるために正規雇用に切り替えて実質賃金を引き上げることであり、更にそのためにはデフレから脱却して経済成長を成し遂げることです。
そのための対策としては、消費税の減税、最終的には廃止、そして政府による大胆で大規模な財政出動(支出)です。
安倍政権(安倍さん個人ではなく財務省を含む政府です。)は、デフレ脱却を目標に掲げておきながら、消費増税や緊縮財政など真逆のデフレ化政策を実施してきました。
異次元の金融緩和政策によって日銀当座預金を大幅に増やしても、お金がそこに留まっているかぎり、すなわち公共事業などによりお金が民間に実際に支出されないかぎり経済は活性化せず、デフレ脱却には繋がらないと考えます。
現在のコロナ禍の状況は、消費税を減税あるいは凍結して消費需要を増大させるとともに、政府が財政出動して支出を拡大する絶好のチャンスではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。