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航空宇宙自衛隊が宇宙を守る!宇宙作戦隊を新設する理由や背景とは?

投稿日:2020-01-05 更新日:

防衛省は、令和2年度予算の概算要求で、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」(仮称)を新設するとともに、名称を「航空宇宙自衛隊」に改める方向で関係機関との調整に入りました。

陸・海・空を守る自衛隊が宇宙空間も守れるのか?

「宇宙作戦隊」って何だ?

世間には、驚きとともに様々な疑問や憶測が飛び交っています。

自衛隊史上初めて「宇宙」の名を冠する部隊が出現することになり、政府は、自衛隊が陸・海・空のほか宇宙空間も国の防衛領域とすることを明確にしたのです。

宇宙作戦隊といえば、宇宙での戦闘を描いた昭和アニメや特撮の戦隊ドラマなどを連想させる名称なので、宇宙戦艦ヤマトや起動戦士ガンダムなどをイメージされる方々もおられるかと思います。
  
また宇宙作戦隊の任務がもう一つ分かりにくいので、そういったイメージを思い浮かべるのもやむを得ないことだと思います。

 

宇宙作戦隊の新設に合わせて航空自衛隊の名称を「航空宇宙自衛隊」に改称する方向で関係機関との調整を始めましたが、陸海空3自衛隊の改称は1954年の自衛隊創設以来初めてのことです。

航空自衛隊の名称に「宇宙」を入れて航空宇宙自衛隊にしようとするのは、空自に「宇宙作戦隊」を新設するからに他なりませんが、それでは一体なぜ「宇宙作戦隊」なる部隊を新設するのか?

その理由や背景とともに、新設する「宇宙作戦隊」の具体的な任務について調査しましたので、ご紹介します。

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「宇宙作戦隊」を新設する理由や背景とは?

宇宙作戦隊新設の報道がされると、ツイッターなどのSNS上では、「宇宙戦艦ヤマト」や「起動戦士ガンダム」など昭和のアニメをイメージした投稿や宇宙空間を飛び回る戦闘機部隊といった発言が飛び出し、一部で盛り上がっているようです。

しかし、宇宙作戦隊の実態は、そういった投稿や発言とは全く違ったもので、防衛省の幹部の方も「隊員が宇宙に出て活動するわけではありません。そもそも自衛隊員に宇宙飛行士はいません。勤務先は地上の施設」といいます。

それでは、宇宙に出て活動することを想定していない部隊に宇宙作戦隊と名付け、なぜ新設されるのでしょうか?

その理由と新設の背景とは何なのでしょうか?

実は宇宙空間には、故障した衛星の破片などの宇宙ゴミが無数に浮遊していますが、それが急速に増加しており、それらが日本の人工衛星に衝突するリスクがあるといいます。

それに衝突のリスクは何も宇宙ゴミだけではなく、他国の人工衛星が衝突してくる恐れもあります。

更には外国の不審な人工衛星が日本の人工衛星を妨害しようとして接近してくることも想定されます(中国やロシアは、他国の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」を開発しているといいます)。

こうしたリスクに備え、例えば宇宙ゴミや不審な衛星が日本の人工衛星に接近してきたら何らかの装置で衝撃を与えて方向をそらし、又は大気圏に突入させて燃え尽きさせるといった防御システムが必要ではないでしょうか?

また、国際的にも中国やロシアが宇宙空間の軍事利用を拡大させており、自衛隊としても人工衛星の防護などの宇宙空間での防衛力強化の方針を明確にする必要があると判断したようです。

そのため国は、宇宙空間の常時監視体制を構築する計画を策定し、宇宙空間での防衛力の強化に着手しました。

宇宙作戦隊の新設はその第一歩というわけです。

新設される宇宙作戦隊の任務とは?

新設される宇宙作戦隊の任務は、以上のことから分かるとおり、宇宙空間の常時監視体制下の宇宙空間の監視を担うことになります。

しかし、当面は常時監視体制を構築するための準備作業を担うことになり、約20人の小人数でスタートし、4年後には100人規模に拡充したい考えです。

宇宙作戦隊の拠点となる施設は、航空自衛隊・府中基地(東京都)に置くそうです。

レーダーなどで得た情報がその施設に送られ、電子や通信を専門とする隊員が監視に当たります。  

隊員は、アニメやドラマで着用している戦闘服や宇宙服ではなく、通常の制服を着用して任務に当たる事になります。

この宇宙作戦隊は、令和4年の実働を目指して準備を進めているそうで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や2019年8月に発足したばかりのアメリカの「宇宙軍」との情報共有も想定しているそうです。
         
令和2年度は、JAXAや米宇宙軍との調整や装備の開発、隊員の教育など宇宙の常時監視体制を構築するための準備期間になります。

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令和2年度予算の概算要求の詳細について

2年度の概算要求として、宇宙関連経費で総額約524億円を計上しています。

このうち、完成後には宇宙を周回する人工衛星に搭載することになる高性能の光学望遠鏡を開発するための経費として33億円を計上しました。
      
それから、日本の人工衛星に対する電磁波妨害の状況を地上から監視する設備などの開発経費として約40億円を計上しました。

また、アメリカ宇宙軍の拠点となる米空軍基地に隊員を派遣して研修を受けさせる経費も計上しています。

一方、山口県の山陽小野田市では、宇宙監視レーダーの設置工事が近く始まります。

この宇宙監視レーダーで得られた情報は、アメリカ宇宙軍と共有し、共同で宇宙監視に当たることを検討しているそうです。

まとめ

それでは今回のまとめです。

防衛省は、宇宙空間の常時監視体制を構築するために航空自衛隊に宇宙作戦隊を新設し、合わせて航空宇宙自衛隊に改称するため、関係機関との調整に入ったと発表しました。

この航空自衛隊の改称は、最終目標が、陸・海・空に次ぐ「第4の戦場」といわれる宇宙空間も日本の防衛領域であり、宇宙空間の防衛に当たることを内外に向けて宣言するものであります。

人工衛星を守るといえば地味で些末な事のように聞こえるかも知れません。

しかし人工衛星は自衛隊の様々な活動を支えています。

  • ○北朝鮮が発射する弾道ミサイルの把握、
  • ○巡航ミサイルの攻撃目標への誘導、
  • ○敵や味方の艦船、装備の位置把握、
  • ○遠方にいる自衛隊部隊との通信の中継・指揮統制など

人工衛星の役割は多岐に渡ります。

侵略に備えて装備や能力をいくら強くしても人工衛星の利用が妨害されれば、その機能は発揮できなくなります。

 

アメリカ、中国、ロシアは、日本より早い時期から宇宙空間を新しい戦場と位置づけ、競って軍事開発を行ってきています。

中国は2007年に地上から発射したミサイルで人工衛星を破壊する実験に成功していますし、インドも2018年の春に成功させています。

また、中国やロシアは、他国の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」の研究開発を進めているといいます。

そうしたことを踏まえ、アメリカは昨年(2019年)8月に「宇宙軍」を発足させました。

宇宙空間での他国の脅威は確実に高まっているにもかかわらず、今まで日本は出遅れていた感があります。

これからは、宇宙空間の防衛が日本にとっての死活問題になってくるような気がします。

日本の宇宙空間での防衛力の強化・充実に期待します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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管理人の浅野清美と申します。
長年勤めた役所を退職した元地方公務員。
現在は、現役の時にお世話になった役所の退職者を会員とする一般社団法人の事務局で会員ボランティアとして活動しています。
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