安倍首相は、新型コロナウィルス感染の急拡大を受け、7日にも改正新型インフルエンザ対策特別措置法(以下「特措法」)に基づく緊急事態宣言を出す方向で準備に入りました。
対象区域を首都圏と大阪府を中心に1月程度の枠で、基本的対処方針等諮問委員会の意見を踏まえて決定します。
緊急事態宣言で対象区域が指定されると、その区域の知事に感染拡大防止のための様々な権限が与えられ、地域の実情に応じた対策が講じられます。
そこで、この記事では、緊急事態宣言に備えて対策を準備する東京都の対策について具体的に説明していきます。
目次
緊急事態宣言で知事に付与される権限とは?
緊急事態宣言がされると、知事には次のような権限が付与されます。
(1)地域住民に対する外出自粛の要請
知事は、地域住民に対し期間と区域を定めて、食料品の買い出しや通院、通勤などの生活の維持に必要な場合を除いて外出自粛の要請をできるようになります。
これは現在も行われている外出自粛の要請と実質的に変わるものではありませんが、宣言がなされた後は、法律に基づく要請に変わるわけです。
(2)学校、社会福祉施設、イベント会場の使用の制限又は停止
知事は、学校、社会福祉施設、興行場(映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸などの施設)の管理者に対し、施設の使用制限又は停止を要請することができるようになります。
また、イベントの主催者にイベントの開催の制限又は停止を要請することができます。
知事によるこうした要請に対して施設管理者や主催者が正当な理由なく応じない場合は、要請より強い指示をすることができます。
指示に従わないときは、その事実が公表される制裁があります。
(3)臨時の医療施設にための土地などの使用
知事は、臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資を使用する必要があると認めるときは、その土地等の所有者、占有者の同意を得て、その土地等を使用することができます。
正当な理由がなく同意しないときは、同意を得ないで土地等を使用することができます。
これはかなり強烈な権限です。
(4)医薬品や食品などの物資の売渡しの要請
知事は、緊急事態措置の実施に必要な物資(政令で定める医薬品、食品などに限る)で生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とする者が取り扱うものについて、その特定物資の売渡しを要請することができるようになります。
(5)生活関連物資等の価格の安定
国民生活に関連性が高い物資などの価格の高騰や供給不足が生じたり、その恐れがあるときは、法令に基づく措置を講じなければなりません。
緊急事態宣言で東京都が準備する具体的な措置
緊急事態宣言が発せられた場合に東京都が特措法に基づいて休業や休館を要請する対象施設などについて、
①感染の拡大が問題となっている、ナイトクラブやバーなどのほか、大学や学習塾、スポーツクラブなどの運動施設、映画館やライブハウス、百貨店などに広く休業を要請することになっています。
②スーパーなどの食料品店やコンビニ、交通機関や銀行などについては、感染防止対策を徹底した上で原則として営業を継続できます。
その全容の案は次の通り(国と調整中)。
<休業・休館を要請する施設>
大学、専修学校、学習塾、自動車教習所、体育館、プール、ボウリング場、スケート場、ゴルフ練習場、スポーツクラブ、劇場、映画館、ライブハウス、集会場、展示場、博物館、美術館、図書館、百貨店、ショッピングモール、ホームセンター、キャバレー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケ店、パチンコ店、ゲームセンターなど
<原則営業を継続する施設>
病院や診療所、スーパー、コンビニエンスストアー、ホテル・旅館、バス、電車などの交通機関、工場、金融機関、事務所など
飲食店(営業時間の短縮を要請。居酒屋は休業を要請)
まとめ
それでは今回のまとめです。
安倍首相は、新型コロナウィルス感染急拡大を受けて、この4月7日にも特措法に基づく緊急事態宣言を発する方向で準備に入りました。
緊急事態宣言が発せられると、緊急事態措置として、外出自粛の要請や、いろいろな施設や催事の使用制限や停止の要請・指示、医療施設開設のための土地などの使用、医薬品や食品などの売渡し要請などが指定された地域の知事に権限が付与されます。
この緊急事態宣言は首都圏や大阪府などに発令されることが想定されており、発令に備えて準備する東京都に対策・措置について紹介してきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。