2018年(平成30年)9月6日未明に発生した大規模な地震は、震源地が胆振東部の内陸地のため、津波の心配はありませんでした。
しかし、直後に発生した道内の全世帯を巻き込む大規模な停電に加え、数時間後には水道が断水して、二つの重要なライフラインが途絶えてしまいました。
北海道は今までに経験したことのない悲惨な事態に陥ってしまったのです。
このことは、札幌市で暮らしている管理人の住宅も例外ではなく、停電と断水という二重の不便に見舞われました。
オール電化仕様の設備が更に拍車をかけます。
部屋が暗い、テレビが見れない、トイレができない。炊事の煮炊きができない。食器が洗えない等々・・。
停電と断水が日常生活にこれほど不便をもたらすものか、いやというほど思い知らされました。
幸いにして家の中には、災害のためのグッズがそれなりにありましたので、それらを総動員させて電気や水道が復旧するまで何とか乗り切ることができました。
そこで、停電と断水に対して何とか乗り切ることができたこの数日間の我が家での対処法の一部始終を報告します。
目次
地震の発生、その直後に道内全295万世帯が停電
2018年(平成30年)9月6日3時8分ころ、突然、突き上げるような強烈な揺れを感じて起こされました。
次の瞬間、今度は揺さぶられるような強い横揺れが続き、管理人は不覚にも隣に寝ていた妻の手を握っていました。
室内を見渡すと、常夜灯の明かりで本棚の一番上の棚から分厚い本が2,3冊落下しており、クローゼットの棚に積み上げていた箱が落下して中に入っていた着物や小物が床に散乱し、また、箪笥の上に置いていたWiFiルータが床にひっくり返っているのが分りました。
幸い、これらの落下物による人体への影響はなく、WiFiルータも壊れていませんでした。
そういった状況を確認する間もなく突然の停電。
時刻は午前3時過ぎ、部屋中真っ暗になってしまいました。
幸いだったのは、ベッドの脇テーブルの引き出しの中に手回し充電池付きのラジオ兼LEDライトが入っていたこと。
この手回し充電池は、取扱説明書によると、1分間の手回しでFMラジオが約40分、AMラジオが約60分、ライトが約15分ほど持続してくれます。
このライトの明かりを頼りに妻と1階の居間に移動して見つけた乾電池を入れて長時間の照明に切り替えました。
明かりが確保できたところで、今度は情報の収集です。
我が家にはワンセグテレビ対応のタブレット端末があり、このワンセグテレビをつけると、夜中の3時だったのですが、地震の報道が大々的にされていました。
そこから、胆振中東部を震源地として発生した地震で、地震の規模はマグニチュード6.7、震源の深さは37km(いずれも暫定値)、最大震度は震度階級で最も高い震度7ということを知りました。
これは北海道では初めての観測ということでした。
テレビはつけっぱなしにしていましたが、朝の5時頃には充電切れになっていまい、その後は、ライト兼用のラジオから情報を得ることになりました。
ただ、幸運にも停電はその日の午後8時30分頃には復旧して、何とか最終回の『ハゲタカ』(綾野剛が主演)を視聴することができました。
停電に引き続き数時間後には断水が発生
妻がライングループの仲間から、もう少ししたら断水になるという情報を聞き、湯船に水を入れ始めました。聞くとトイレの水洗用の水だといいます。
停電でトイレのウォシュレットは既に使えないのですが、断水が加わったことで、水洗用の水が流れず、そのための水を湯船に用意しているというのです。
水洗トイレの取扱説明書を読み直し、停電や断水の時に手動で排水する方法が備わっていることを知りました。
便器の側面のカバーを取り外すと中に大きな歯車のような形をしたクリーム色のレバーがあり、それを手前(画像では左側)に3回ほど回すと便器の排水管の弁が開き排水されます。
排水後、今度はレバーを逆に向こうの側(画像では右側)に3回ほど回して弁を閉じます。
そして直ぐに予め湯船から大きなペットボトルなどで取水した5~6リットルの水を便器に流し込み、水を便器に溜めます。
そうすることによって臭気が漂うのを防止するのです。
こうして何とかトイレの問題は解消しました。
断水で最大の問題は飲料水の確保ですが、幸いにも我が家では定期的に飲料水が配達される契約をしており、飲料水に困ることはありませんでした。
これがなかったら、塩ビ製の給水袋などで給水所から自宅まで飲料水を運ぶことになります。
炊事の煮炊きができない。食器が洗えないなどキッチン回りの問題
我が家で残るのは、炊事の煮炊きや食事後の食器洗いなどキッチン回りの問題でした。
朝食はとりあえず食パンと昨日の残りの有り合わせのおかずを食べて、キッチン回りの問題をパスしました。
問題の一つは煮炊きをどうするか
実は、我が家には小型のカセットガスボンベで煮炊きができる携帯用のコンロがあるのです。
普段は、居間で鍋を囲んですき焼きやしゃぶしゃぶなどを食べるとき、キッチンで煮炊きした鍋を居間のテーブルに移動させ、そこで鍋を加熱する補助的なものとして使っていました。
結構火力が強く、このコンロだけでも十分煮炊きはできます。
昼食はとりあえず、このコンロでお湯を沸かしてカップメンを食べました。
夕食は、このコンロでトマトケチャップのチャーハンをつくり、野菜サラダをつけて食べました。
問題の二つ目は、食後の食器洗いをどうするか
お風呂の湯船に水を溜めていますが、さすがにそれで食器を洗うのには抵抗がありました。そこで、一応食器洗い用に大きな鍋に水を溜めたのですが、すぐに無くなってしまいます。
(給水所に行って、食器洗い用として水の補給もしました。)
いろいろ考えた末に、食事をしても出来るだけ洗う食器を出さないように、「百均」で売っている紙コップや紙皿の使い捨て、あるいはアルミホイルを被せた皿を使うことにしました。
これで何とか断水が復旧するまでしのぐことができました。
まとめ
それでは、今回のまとめです。
9月6日未明に発生した胆振東部地区を震源地とする大規模な地震は、震源地の近くにあった北電・苫東厚真火力発電所を損傷させ、発電機能を失わせました。
苫東厚真火力発電所は、何しろ道内の電力需要の半分を賄うことができる165万KWの発電能力を誇っています。
この発電所の発電が停止したため、電力の需給バランスがくずれ、他の発電所も停止せざるを得なくなって道内の全世帯を巻き込む大規模な停電になってしまいました。
それに加え、数時間後には断水して、二つの重要なライフラインが切断されるという北海道がいまだかつて経験したことのない悲惨な事態に陥ってしまったのです。
発電所について、一箇所で電力需要の半分を供給するという体制は、相当リスクがあるのではないでしょうか。今回の地震でそれが証明された形になりました。
発電所の分散化を図る必要があると思います(陰の声:泊原発はどうなるの?)。
この度の道内のほぼ全世帯が停電に襲われるようなことをブラックアウトといいますが、なぜ起こってしまったのか、その真相を詳細に解説した記事を掲載しています。
我が家ではいろいろな災害対策グッズや幸運にも恵まれ、何とか乗り切る事ができました。
しかし、これが冬だったらどうなるのか、想像するだけでもそら恐ろしい思いがします。
冬の場合は、今まで述べてきたことに加え、暖房を確保しなければならず、ポータブルの石油ストーブを備えておく必要性を痛感しているところです。
この度の地震でお亡くなりになった方のご冥福と、現在も避難所生活で難儀されている方々の一日も早い復旧をお祈りいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。