夫婦別姓

新しい夫婦別姓とは?選択的夫婦別姓との違いを報告します。

投稿日:2018-03-26 更新日:

ネット上で活発に議論されている夫婦別姓について、その背景や賛否の意見をまとめるため、いろいろ調べていくと、新しい夫婦別姓が提唱され、議論が更に深まってきているようです。

新しい夫婦別姓とは?そして選択的夫婦別姓との違いとは?更に報告していきます。

スポンサーリンク

新しい夫婦別姓と選択的夫婦別姓の違いとは?

選択的夫婦別姓は、あくまでも民法上の氏の問題として議論を展開します。

しかし、最近になって、夫婦別姓を民法上の氏の問題としてではなく、戸籍法上の氏の問題として理論構成(法律構成)する考え方が出てきました。

それは、「婚姻により氏を変えた者は,戸籍法上の届出により、旧姓を戸籍法上の氏として使用することができる。」という趣旨の文言を戸籍法に追加することを提案するものです。

つまり民法上の氏とは別に、戸籍法上の氏という2つの氏を使い分けることを提案しているのです。

民法上の氏と戸籍法(呼称)上の氏

民法上の氏だとか、戸籍法上の氏だとか、一人の人間に氏は一つではないのか、とお思いでしょうが、実は違うのです。

戸籍法上の氏とは呼称上の氏とも呼ばれ、普段私たちが使っている氏のことで、戸籍に記載されている氏です。

一方、民法上の氏は、どこかに記録されているようなものではなく、目に見えないものですが、多くの場合、戸籍法上の氏と同じなので、その違いを意識することはまずありません。

離婚の際の復氏と婚氏続称

しかし、この目に見えない民法上の氏が戸籍法(呼称)上の氏と違う場合があります。

それは、民法第767条第2項の離婚後も婚姻中の氏を称する「婚氏続称」です。

民法第767条(離婚による復氏等)
第1項 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
第2項 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

戸籍法第77条の2(離婚後の氏の回復)
民法第767条第2項(省略)の規定によって離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

民法第767条は、第1項で離婚による復氏を、第2項で婚氏続称を規定しています。

離婚すると民法上の氏は復氏の規定により結婚前の氏に戻りますが、戸籍法上の婚氏続称の届出をすると、戸籍法(呼称)上の氏は婚姻中の氏と同じ呼称・表記になります。

このように、離婚の際に婚氏続称を選択した人は、民法上の氏は旧姓、戸籍法(呼称)上の氏は結婚していた時の姓となり、異なる名称の氏を同時にもつことになります。

通常は、民法上の氏も戸籍法上の氏も同じ名称なので意識されないのですが、一人の人間がもともと2種類の氏(民法と戸籍法)をもっていることがこれで分ります。

新しい夫婦別姓の考え方

新しい夫婦別姓は、この民法第767条の考え方を結婚のときにも及ぼそうとするものです。

結婚して改氏(民法上の氏)する者が戸籍法上の届出をすれば、旧姓(戸籍法上の氏)を続称できるようにするために、民法第767条第2項に相当する条文を戸籍法に追加することを提案するのです。

離婚の際の「婚氏続称」に倣って、結婚の際の「旧姓続称」とでも名付けると分かりやすいでしょうか。

スポンサーリンク

国際結婚の場合は夫婦別姓が前提?!

実は、戸籍法には、結婚の際の「旧姓続称」と真逆のケース(結婚して旧姓を継続する者が配偶者の姓に改氏するケース)を定める条文(第107条第2項)が、既に存在しています。

国際結婚の際の外国人の氏への変更届

戸籍法第107条第2項は、外国人と結婚した者が自分の氏をその外国人が称する氏に変更するときの届出について定めています。

戸籍法第107条(氏の変更)
第2項
外国人と婚姻した者がその氏を配偶者が称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

この条文は、結婚した外国人と同じ氏(同姓)に変更しようとするときは、結婚の日から6ヶ月以内であれば届出だけでそれができると定めています。

条文の反対解釈で導き出される国際結婚の場合の夫婦別姓!

ということは、この条文の反対解釈として、氏の変更の届出をしなければ、結婚前の氏が継続することになります。むっ、ということは、外国人との結婚は夫婦別姓が前提ということなのか?

そうなんです。

実は、日本人が外国人と結婚する国際結婚の場合は、当然のことですが、外国人には戸籍がないので、日本人を筆頭者とする単独の戸籍が作成されてしまいます。

そのため、日本人の姓は旧姓のままとなり、このままでは外国人配偶者の氏と同じにはならず、結果として夫婦別姓となってしまうのです。

そのため、わざわざ戸籍法第107条第2項を定め、国際結婚の場合にも夫婦同姓にする道を開いたのです。

新しい夫婦別姓の論拠

こうした議論を踏まえ、新しい夫婦別姓は、次の2点を理由に戸籍法に「結婚の際の旧姓続称の届出」に関する規定の追加を求めて夫婦別姓の実現に道を開こうとしているのです。

①民法上の氏と戸籍法(呼称)上の氏が一致しない場合を戸籍法が認めていること(離婚の際の婚氏続称)

②戸籍法では、国際結婚の場合に夫婦別姓が前提となっていること(国際結婚で外国人配偶者の氏への変更届に関する戸籍法第107条第2項の反対解釈)

新しい夫婦別姓のメリットとは?

では、この新しい夫婦別姓にどんなメリットがあるのかといえば、旧姓を戸籍法上の氏として使用する届出は、一人でできるのです。

配偶者の同意は必要ありません。

一方、民法上の氏の問題は、結婚の内容となっており、現在は、夫婦同姓しか認められていないので、結婚するときには氏を夫婦のどちらかの氏に決めなければなりません。

氏の問題で結婚が成立しないなどということは、通常、考えられないことです。

しかし、どちらの氏にするかについて夫婦の合意がなければ、すなわち夫婦の氏が決まらなければ、婚姻届を出せず、結果として結婚(法律婚)は成立しないのです。

新しい夫婦別姓は、民法の決まりで(不本意ながら)相手の氏に変更した者も、相手の同意なしに、旧姓を戸籍法上の氏として使用する届出により結婚後も旧姓を称することができ、これにより夫婦別姓が実現できるというわけです。

この考え方は、民法上の夫婦同姓の決まりともバッティングしないので、「選択的」という言葉も必要ないわけです。

まとめ

それでは今回のまとめです。

新しい夫婦別姓について、いろいろ解説してきましたが、要するに、新しい夫婦別姓は、選択的夫婦別姓の記事で書いた夫婦別姓不要論がいうところの通称(呼称)上の姓に法律(戸籍法)上の根拠を与えることになると管理人は考えています。

新しい夫婦別姓の考え方は、民法の夫婦同性の決まりともバッティングせず、かつ、配偶者の同意を必要としない戸籍法上の届出によって実現できる点で優れていると思います。

この記事の内容は、いかがでしたでしょうか?

また、選択的夫婦別姓の記事も掲載していますので、併せてお読みいただければ嬉しいです。

選択的夫婦別姓とは?その背景や賛否の意見をまとめてみた。

スポンサーリンク

-夫婦別姓
-, , , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

選択的夫婦別姓とは?その背景や賛否の意見をまとめてみた。

「選択的夫婦別姓」というのをご存知ですか? 今、ネット上で、夫婦別姓について活発に議論が展開されています。 夫婦別姓とはなにか?また、この言葉の前に「選択的」という言葉がつくのはなぜなのか? 夫婦別姓 …

プロフィール

プロフィール

管理人のキャサノンこと浅野清美と申します。
長年勤めた役所を退職した元地方公務員。
現在は、現役の時にお世話になった役所の退職者を会員とする一般社団法人に勤務しています。
会員の皆さんはもちろんのこと、シニアの方々を始め、広くいろいろな読者の皆さんへ情報発信していきます。
よろしくお願いします。

error: Content is protected !!